歯科コラム

高齢者の口臭が悪化する原因は、第一に「唾液の分泌量が減少する」事が挙げられます。唾液には殺菌作用や洗浄作用があるため、唾液の分泌量が減少することによってこれらの機能が低下してしまいます。
口の中には数多くの細菌が存在しており、この細菌は糖を分解しています。その時、口臭の原因となる物質が作り出されるため、唾液による殺菌作用が低下してしまうとこの臭いもきつくなってしまうのです。
年齢を重ねるに連れて自然と唾液分泌量は減少してしまいます。ですが、対策ができないというわけではありません。例えば「唾液腺を刺激する」という方法です。耳下腺・舌下腺・顎下腺という3つの唾液腺を刺激することで、唾液の分泌を促すことができます。また、食事の時に咀嚼回数を増やす、運動によってストレスを発散する、酸っぱいものを食べると言った方法もありますが、病気を原因として唾液の量が減少している場合は治療が必要です。また、一部の医薬品には唾液の量が減少するものがあります。

次に考えられるのは「虫歯」や「歯周病」を原因としている口臭です。虫歯や歯周病は歯を失うというデメリットが大きいせいか、口臭の原因になるということはそこまで広く知られていないかもしれません。
虫歯や歯周病は、その病気が進行する過程において「膿」を発生させます。この膿が口臭の原因となってしまうのです。同じく膿を原因とする口臭としては、唾液量が減少することで喉に細菌が感染し、膿を出すというケースもあります。
いずれにしても、原因となっている虫歯や歯周病を治療しない限り、口臭は解消できません。歯磨きで一時的に口臭を軽減できても、原因となる膿を排除しない限りこの口臭は継続します。もちろん、健康な歯を失ってしまうというリスクもありますので、早めに歯医者で治療を受けてください。

次は「胃腸機能の低下」による口臭です。これらの原因は、胃腸から臭気が立ち上って口臭になっていると思われがちですが、実は「血液」が関係しています。胃腸を原因とした口臭は、胃腸で発生したガスが吸収されて血液に混ざり、これが血管を通って肺に運ばれるという仕組みです。
高齢者がこの原因で口臭を悪化させてしまうのは、「胃腸の老化」と「運動不足」が原因です。高齢になることで胃腸機能が根本的に低下してしまい、さらに年齢のせいで運動量が減少することで胃腸も活発に活動できなくなってしまいます。それによって胃腸内で食べ物が異常に発酵してしまい、ガスが発生して口臭を悪化させてしまいます。また、胃腸機能が低下すると免疫力が低下し、舌に「舌苔」が発生して口臭を悪化させるというリスクもあります。
対策としては、運動量をできるだけ増やすことと、発酵食品を食べることです。また、肉や魚、卵などの「酸性食品」をできるだけ減らして、野菜を食べる量を増やすこともお勧めです。これらによって胃腸を元気にして、口臭対策となります。

他に考えられる原因としては「入れ歯の手入れができていない」ことが挙げられます。入れ歯や差し歯に使用されている材料は唾液が浸透しやすく、これを放置すると口臭の原因となります。人工の歯であっても、臭いの原因から逃れることはできないのです。
きちんと手入れできていれば良いのですが、手入れをおろそかにしたり、間違った方法で入れ歯を手入れしたりしてしまうと口臭悪化の原因になります。こまめに手入れすることを心がけて、正しい手入れ方法を実践できているかをチェックしましょう。必要であれば、入れ歯を作り直すことも検討してください。

原因を特定できれば、口臭対策もそこまで難しいことではありません。しかし、最も主重要なのは「高齢者の口臭悪化の原因が何であるか」を明確に特定することです。原因となっていないことに対して対策をしても、口臭が改善されることはほとんど無いでしょう。対策すべき原因が明確にならなければ、対策もしようがないのです。
そのため、高齢者になって口臭がきつくなってきたと自覚したら、一度は増田歯科で診てもらうことをお勧めします。何が口臭の原因になっているのかを診断してもらい、有効な対策について教えてもらってくだい。必要であれば虫歯や歯周病の治療を受けてください。原因によっては歯医者では対応できない場合もありますが、その場合でも必要な治療を受けられるのが何科の病院であるか知ることができます。